収穫、仕込みも終盤戦です!
本日でワイナリー周りのシャルドネの収穫、仕込みが完了しました。あとは、ワイナリー周りのメルローを残すのみとなり、9月中旬から始まった収穫、仕込み作業もようやく終わりが見えてきました。
今年は収穫前の9月中旬から後半にかけて台風の影響などで雨が多く、気温の低い状態が続いたので、結果的に収穫は例年より1週間ほど遅めのスタートになりました。シーズンを通じて気候が安定せず、決して簡単な年ではありませんでしたが、スタッフの懸命な努力により、全体的には健全で、豊作、よい品質のブドウを収穫することができました。特に10月中頃からは天候が安定してきたので、シャルドネ、メルローは期待が持てます。
ワイナリーの内部では、所狭しとタンクや樽が並んでいて、発酵中のもろみのよい香りが漂っています。残りのメルローの収穫、仕込み、そして赤ワインの発酵後のプレス(圧搾)など、まだまだ気を抜くわけにはいきませんが、終わりが見えてきたので、少し気持ちに余裕ができてきました。
この2年間は新型コロナウイルスの関係で、収穫ボランティアの方をあまり受け入れてきませんでしたが、今年はすでに50名以上のボランティアの方に収穫をお手伝いいただき、また、地元の方々にアルバイトでお手伝いいただくなど、多くの方に助けていただきました。この場を借りて、スタッフ一同、心から感謝申しあげます。
2022年ヴィンテージのワインは来春以降の発売になりますが、今年のヴィラデストの気候やスタッフの努力を反映したワインを、楽しみにお待ちください!
収穫が始まりました!
いよいよ2022年の収穫が始まりました。まずは、東御市・御堂地区(約3ヘクタール)のシャルドネ。昨年ほんの少し初収穫できましたが、今年は少し増えて300kgほど。来年から一気に収穫量が増えそうです。
9月10日ぐらいまでは雨続きで、なかなか糖度があがってこなかったのですが、この1週間は晴れて気温の高い日が多かったので、一気にブドウの熟度があがってきました。これから、しばらくは毎日のように収穫、仕込みの日が1か月ほど続きます。
今年は久しぶりに寒い冬になりました。春から初夏にかけても気温は低めで、萌芽や開花は例年より少し遅めになりました。6月6日に梅雨入りしましたが、6月後半には早くも梅雨があけて、突然の猛暑になりました (でも、その後も夕立が多く、結局、梅雨明けは7月下旬と訂正されましたが)。
ヴィラデストでは、開花の時期に気温が高めで雨が少なかったので、着果は良好でした。7月下旬まで夕立が多くて、べと病の発生しやすい状況が続きましたが、概して気温が高かったこともあり、生育の遅れを取り戻し、結果的には平年並みの収穫時期になりました。
一部の畑ではべと病の影響を受けましたが、今のところ、全体としてみるとブドウは健全です。これから台風シーズンで心配もありますが、なんとかよい天気が続き、よいブドウが収穫でき、よいワインができることを願うばかりです。
収穫、仕込みはこの1年間の畑の集大成です。スタッフ一同、気合を入れて頑張ります!
ヴェレゾンが始まりました!
ピノ・ノワールのヴェレゾン(果実の色づき)が一部始まりました。
ヴェレゾンの前には房周りの葉を取り、房への日当たりや風通しを改善する除葉(じょよう)をおこないました。ただ、あまり強い日光が房にあたると日焼けを起こすこともありますし、房周りの葉は光合成にも重要な役割を果たしていますので、ヴィラデストでは、白ワイン用品種やピノ・ノワールは、垣根の片側だけ徐葉して日差しの強い西側や南側は葉を残し、メルローやカベルネは両側とも取る、という方法をとっています。いずれにせよ、“完全にすっきり”にするのではなく、“中庸に”除葉をすることを心掛けています。
今年は、梅雨は短かったのですが、梅雨が終わってから、連日のように激しい夕立になり、地域全体としては“べと病”の発生が多いようです。ヴィラデストでも被害は出ていますが、一部の畑に抑えられていますので、収穫までのあと一月半ほど好天が続き、健全に熟してよい収穫が迎えられることを期待したいです。
また、獣の食害にも対策が必要ですから、これから電気柵を設置したり、ネットを張ったりといった作業も予定しています。
近年では、異常気象、猛暑、ゲリラ豪雨、大型台風、などという言葉をよく聞くようになりました。地球温暖化がこのような気候変動を引き起こしていると言われますが、ワインづくりにおいては、地球温暖化により雨が増えて病気が増えたり、また、従来その地に適していた品種が、その地に合わなくなってきたりと、地球温暖化の負の影響を大きく受けます。
ブドウ栽培やワイン醸造においては、畑では光合成により、CO2(二酸化炭素)を糖分に固定しますが、発酵の過程や人間がワインを飲酒して代謝する際、また、剪定枝を焼却したりなどしている間に畑で吸収されたCO2は、ほぼ大気中に放出されると思われます。ほかにも、ブドウ栽培に使用する農機具の燃料、醸造機械を動かすための電力、ワインボトルなど容器の製造・運搬にかかわるエネルギー、ワインを熟成させる部屋の空調、完成したワインの輸送に関わるエネルギーなど、最終的には畑で固定する以上のCO2を排出することになります。
今、自動車産業では急速に電気化が進みつつありますが、いずれは農機具も電気化されるようになるでしょうし、畑などにスペースはたくさんありますから、太陽光等の自然エネルギーを使うなどして、ワインづくりでもカーボンニュートラルを目指したいものです。
同時に、将来を見据えて、地球温暖化に対応できる品種を探して、少しずつですが、試験的な栽培を今から始めています。現在、日本に導入されているワインブドウ品種は、世界的に見ればごく一部であり、可能性のある品種は世界中にたくさんありますので、JVA(日本ワインブドウ栽培協会)の仲間とも協力して、有望な品種を探索していきたいと思います。
まだまだ暑い日が続きますが、ヴィラデストではお盆を過ぎると秋の気配が漂ってきます。
収穫までの間に、畑仕事以外にも昨年仕込んだ赤ワインの澱引きやビン詰めなどを行いますが、いよいよ収穫、仕込みにむけて、ワイナリーは準備モードに入ってきました!
暑さに負けず、頑張っています! ~“自然派ワイン”について考える~
6月27日に史上最短で梅雨明けの発表があり、いきなり猛暑の夏がやってきました。
スタッフもこの唐突な暑さに順応するのが大変な状況ではありますが、熱中症に注意をしながら、ブドウ栽培にとって最もいそがしい時期を頑張って乗り切りたいと思っています。
今年は開花時期に雨が少なく、気温が下がることもなかったので、結実の状況も良好で、ブドウは今のところ順調に生育しています。ただ、このところ毎日のように夕立があるので、病気の発生が心配されるところです。
今回は、ヴィラデストのワインの中では少し異色のワインである「タザワメルロー」のお話をしたいと思います。「タザワメルロー」は、いわゆる、“自然派”とか“ナチュラル”と言われるジャンルのワインです。
2004年に大橋健一さん(現在、日本在住で唯一のマスター・オブ・ワイン)が『自然派ワイン』を執筆されました。その当時は、世界中をみても“自然派ワイン”のジャンルに入るワインは少なく、そのようなワインがあることもあまり知られていませんでした。
私自身、仮にチャレンジしたとしても、雨の多い日本で合成農薬を使用せずに、病気に弱いワインブドウを栽培することは難しいだろうと思っていました。
そのような中、若手の栽培醸造家が毎年1回集まって自主的に開催している勉強会(その会は今も続いています)があり、当時私も参加していたのですが、そこで“自然派ワイン”が話題になったことがありました。また、フランスのいわゆる“自然派ワイン”で、すばらしい品質のワインをテイスティングしたり、現地生産者に実際にお会いして話を聞いたりする機会があり、私もそのようなワインにとても興味を持つようになりました。
そして、ヴィラデストの約0.6ヘクタールのメルロー畑にて、有機栽培に準ずる(有機認証は取得していませんが)栽培を始め、その畑から収穫されたブドウは、自然の酵母で発酵を行いました。それが「タザワメルロー」です。
「タザワメルロー」は2007年が初ヴィンテージでしたが、畑では最初の2年間ほどは、べと病を中心とした病気に苦しめられました。また、殺虫剤も使用できないため、ミノムシが大発生して発芽前の芽を食べられるなどの被害もありました。自然酵母による発酵も、最初はこわごわでしたが、勉強会の仲間と情報交換をしたりしながら、徐々に栽培面でも醸造面でも安定したワインを生産できるようになってきました。
できたワインは、柔らかくて繊細であり、少しオフフレーバーを感じますが、良い意味でこれまでのヴィラデストのワインにはない複雑さを感じるワインになりました。このワインの魅力を感じ、ヴィラデストのファンになってくださったお客様もたくさんいらっしゃいます。
ちなみにメルローを選んだのは、ヴィラデストで栽培している品種の中では、最も栽培がうまくいく可能性が高いと思ったことと、畑の位置が森から離れていて、害虫の被害がもともと少ない畑であったからです。
▲「タザワメルロー」の畑は火山性の黒ボク土だが、礫が多くて水はけはとてもよい |
それ以来、ヴィラデストでは、この「タザワメルロー」を継続してつくっていますが、「少しオフフレーバーを感じるが、良い意味でこれまでにない複雑さを感じる」自然酵母による発酵の利点を活かすべく、他のワイン、「ヴィニュロンズリザーブ メルロー」や「ピノ・ノワール」でも部分的に自然酵母を導入しています。
ただ、ヴィラデストのワインは、ヴィラデストの美しい風景を映し出すような、クリーンでエレガントなワインであることが重要だと考えていますので、あくまでも培養酵母を主体としつつ、自然酵母はアクセントだと考えています。
また、ワインはテロワールを反映することが価値であると考えますが、自然酵母での発酵は、オフフレーバーが発生しがちであり、それがテロワールを覆い隠してしまうこともありますので、そういうことのないように注意をしています。
一方、「タザワメルロー」をつくる際に、亜硫酸の使用量を減らしたのですが、その経験によって、他のワインも全体的に以前と比べて亜硫酸の使用量を減らすことになりました。「タザワメルロー」をつくることで、ヴィラデストのワイン全体のレベルアップにもつながっているように感じています。
最近は、“自然派ワイン”という言葉はあまり使われなくなってきて、“ヴァンナチュール”や“ナチュラルワイン”などと言われることが多いですが、いずれにせよ、そのようなワインの中には、すばらしく柔らかく優しく、そしてクリーンで複雑さも感じるすばらしいワインもあれば、オフフレーバーが明らかに前面に出てしまっているものもあります。
また、特に日本では、“自然派ワイン”や“ナチュラルワイン”などという言葉について、その明確な定義があるわけではなく、品質も玉石混淆といったイメージです。今後は、ある程度、製法や表示方法などの基準を定めていく必要があるように思います。
さらに、“ナチュラル”というと、何となく環境にやさしいと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。場合によっては、ボルドー液などの散布回数が増えることで農機の燃料を余計に消費することにつながることもあります。
環境に配慮するのであれば、畑やワイナリーで自然エネルギーを有効に活用することや、そもそもその地に適した病気に強い品種を導入することなど、いかにして環境への負荷を少なくし、ワイナリーで働く人はもちろん、周辺の住民にとっても、「サステナブル(=持続可能)」であるかを考えることが、より重要になってくるのだろうと思います。
今回は、なんだか理屈っぽい通信になってしまいましたが、とにもかくにも、飲んで心からおいしいと思ってもらえるワインをつくることが何よりも重要だと思いつつ、今日も畑で草を刈ってきました!
新梢が勢いよく伸びています!
関東甲信越地方は、6月6日に梅雨入りしたとみられると発表されました。例年よりは1日早かったようです。梅雨入り後も、晴れの日も多いのですが、気温が低めであることもあり、ブドウの開花は少し遅れ気味です。しかし、一部では開花が始まってきました。これからしばらくの間は、新梢や雑草の伸びが最も著しくなり、畑仕事が最もいそがしい時期になってきます。
昨年はシカによる、ブドウの芽の食害などありましたが、今年は今のところ大きな問題はなく、ブドウは順調に生育しています。とはいっても、開花から収穫までの約100日間の天候で、今年のヴィンテージの良し悪しが決まりますので、これからよい天候が続くことを祈るばかりです。
前回の通信でお知らせしましたが、5月28日には「千曲川ワインゴーランド」の一環として、「とうみワインマルシェ」が開催されました。グラスではなくプラコップを使用するなど、まだこれまで通りとはいきませんが、久しぶりに多くの方とお話しをしながら、ワインや交流を楽しむことができました。
「千曲川ワインゴーランド」は、このコロナの状況において、小規模なイベントをこの地域の中で、同時多発的に開催して、遊園地のワインゴーランドのように周遊していただこうという試みです。今回は5月28日、29日の2日間に、東御市、小諸市、上田市(アリオ上田、シャトー・メルシャン椀子ワイナリー)、坂城町でイベントが開催されました。
各会場は、しなの鉄道の駅の近くにあるか、駅から離れた椀子ワイナリーへは路線バスで行けるなど、車の運転を気にすることもありませんでした。
初めての試みでしたが、複数の会場をまわって楽しむ人も多く、来年以降、さらにパワーアップして楽しいイベントになりそうです。
また、先日相次いで結果が発表された2つのコンペティション、International Wine Challenge(インターナショナル・ワイン・チャレンジ[IWC])と、Decanter World Wine Awards(デキャンター・ワールド・ワイン・アワード[DWWA])において「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ 2020」が “Silver” を受賞しました。さらに、DWWAでは「ヴィニュロンズ リザーブ メルロー 2019」が “Bronze” を受賞しました。
いずれもロンドンで開催された世界最大規模のコンペティションですから、そこで高い評価を得ることができたことは非常に栄誉なことと、スタッフ一同喜んでいますし、夏に向けて畑仕事がどんどんいそがしくなる中で、とても励まされています。今後も引き続き、更に上を目指して、レベルアップを続けていきたいと思います。
「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ 2020」「ヴィニュロンズリザーブ メルロー 2019」をぜひ、お試しください!
◇ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ 2020
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芽が出ました!
ブドウ畑では、ゴールデンウィークの初め頃に萌芽がはじまり、今は展葉が徐々に進んでいます。
昨年は、この頃にシカに若芽を食べられてしまうという被害がありました。食べられた後でも、芽は再び出てくるのですが、その樹は実をつけないか、つけても非常に少ないので、被害のあった畑では収穫量が大幅に減ってしまいました。
このあたりでは、シカをはじめとした野生動物の被害が年々増えているようですので、今年は知り合いにワナを仕掛けてもらったり、シカ用の電気柵を設置したりして対策をしています。
今年は久しぶりに寒い冬で、雪も結構降りました。地元の農業改良普及センターの方によると、リンゴではすでに凍害による影響がみられるということでした。ブドウはこれからその影響が分かってきますので、そちらのほうも注意して見ていきたいと思います。
そろそろ遅霜の心配はない季節になってきたものの、これからの季節は豪雨が降るたびに雹の心配があるなど、自然の中で仕事をしていると何かと心配することがたくさんあります。できる対策はしっかりとして、今年もよい収穫ができるようにスタッフ一同、努力をしていく所存です。
依然としてコロナ禍ではありますが、ワイン関連のイベントも徐々に開催されるようになってきました。
直近では、5月28日(土)・29日(日) に、「千曲川ワインゴーランド」の開催が予定されています。
今回の「千曲川ワインゴーランド」では、大規模なイベントの開催が難しい状況の中、千曲川ワインバレー東地区に集積するワイナリーが、小諸市・東御市・上田市・坂城町で、さまざまなイベントを同時に、分散して開催します。
遊園地のメリーゴーランドで遊ぶように、ワインとブドウ畑と作り手を訪ねながらワインバレーを回遊して楽しんでいただくイベント。すべての会場に電車やバスで行くことができますので、車の運転を気にすることもありません。
ヴィラデストワイナリーは、東御市(しなの鉄道・田中駅前)と上田市(アリオ上田)のイベントに出展予定です。
みなさまにお会いできることを楽しみにしています!!
◆「千曲川ワインゴーランド」Facebookページ
https://www.facebook.com/naganowinegr/posts/117448794284573
結果母枝の誘引作業を行なっています
ブドウ畑では、剪定作業で残した「結果母枝(けっかぼし)」の誘引作業を行なっています。
剪定作業が終わった状態の枝(下の写真の左側)を、ワイヤーに沿って誘引してテープで固定します(同右側)。この「結果母枝」にある芽から新梢がでて、それがどんどん上に向けて成長する過程で花が咲き、そして実がなります。
この時期になると、よく「ブドウの涙」という言葉を耳にしますが、ヴィラデストの畑でもブドウの樹が水を吸い上げ、枝の切り口からポタポタと樹液が滴り落ちています。このような状態になると、冬は固かった枝が柔らかくなり、誘引が可能になります。ただ、油断すると途中でポキッと折れてしまいますので、慎重に作業を進めることが必要な仕事です。
これが終わったら、昨年枯れてしまった樹の場所に、新しい苗木を補植したりなどなど、ゴールデンウイーク頃に萌芽するまでにするべき仕事はたくさんありますが、4月下旬からは新たなスタッフも加わりますし、パワーアップして頑張ります!
4月7日には、日本ワイナリー協会主催で、『ハイブリッド・オンラインセミナー Making Pinot Noir in 2 places : Bourgogne & Hokkaido - 2拠点(ブルゴーニュ&北海道)でピノ・ノワールを造る』と題したピノ・ノワールのセミナーが開催されました。
フランス・ブルゴーニュの「ドメーヌ・ド・モンティーユ」と、日本の3会場(北海道、長野、山梨)をオンラインでつなぎ、まずはフランスから、エティエンヌ・ド・モンティーユさんのお話を聞きました。
その後のテイスティングセッションでは、モンティーユさんのほか、北海道からチトセワイナリー 三澤計史さん、山崎ワイナリー 山崎亮一さん、そして、長野からヴィラデストワイナリー 小西が参加。それぞれのワインを説明しながらテイスティングして、意見交換をしました。
オンライン視聴に加えて、会場でのリアル参加も可能なハイブリット方式で開催され、長野はヴィラデストの“兄弟ワイナリー”であるアルカンヴィーニュが会場となりました。
実は、最初にセミナーのタイトルを聞いたときに「どうして長野が入っていないの?」と思ったのですが、これはモンティーユさんが、北海道の函館でも畑を拓き、委託醸造ながら北海道のピノ・ノワールを用いてモンティーユブランドのワインをリリースされているから(仏・ブルゴーニュと北海道でワインをつくっているから)ということでした。
ちなみに、モンティーユさんはカリフォルニアでもピノ・ノワールをつくっているそうです・・。
モンティーユさんの北海道のピノ・ノワール、そして、ブルゴーニュはヴォルネイのピノ・ノワールを飲み比べましたが、どちらもその土地の個性を映した非常に魅力的なもので、どちらが優れているということはないように感じました。北海道のワインは非常に繊細で優しく、柔らかい味わい。モンティーユさんもその出来栄えにとても満足していたのが印象的で、日本では日本らしい唯一無二のワインをつくればいいのだ、と改めて認識することができ、とても貴重な経験になりました。
ピノ・ノワールは果皮が薄いので、収穫前に雨が降ると果粒が割れてしまい、暑い年は色づきが悪く、酸が下がりやすいなど栽培は容易ではありませんし、その土地の土壌や気候の影響を非常に敏感に反映する難しい品種です。しかし、ヴィラデストは雨が少なく冷涼であるという点で、ピノ・ノワールにとって日本で有数の恵まれた場所であることは間違いないと考えています。約1ヘクタールのピノ・ノワールの畑をしっかり管理して、更に魅力あるピノ・ノワールを造っていきたいという思いを新たにしました。
セミナーを企画された日本ワイナリー協会顧問の石井もと子さん、準備などお手伝いいただいた皆様、ありがとうございました!!
剪定も終盤です!
3月も下旬になり、ブドウ畑では剪定作業後の枝の片付けや、垣根のワイヤーに絡まったツル(病気の胞子がこれに付着して越冬する)などの除去を進めています。
春の萌芽までには、枯れてしまった木の補植や今年の結果母枝(種枝)の誘引作業など、まだまだ畑でするべきことは多いのですが、その間にも、2021年ヴィンテージワインのビン詰めなど、ワイナリー内での仕事も加わって徐々に忙しくなってきています。
この時期は、暖かくなったり、また寒くなったりを繰り返しますが、畑ではオオイヌノフグリの花が咲き始めるなど、標高850mのヴィラデストにも春が着実に近づいてきていることを感じます。
先日の地震の際にテレビを見ていて、地震が多い日本は、ヨーロッパと比べると、多様な地質が非常に細かく分布している、という話を耳にしました。
ヴィラデストワイナリーでは、ワイナリーの周りを中心として、数か所に畑が点在しているのですが、この狭い範囲の中でもかなり土壌の違いがあります。そして、その土壌の違いを最もワインに反映する品種が、ピノ・ノワールです。
ピノ・ノワールは、果皮が薄いために雨に弱く、日本での栽培は難しい品種と言われています。一方、日本でも有数の少雨で日照時間の長いエリアに属するヴィラデストでは、やや冷涼な気候を好むピノ・ノワールに適した気候条件の下、1992年に玉村が栽培を開始。その後も様々なクローン(系統)を試したり、果房への雨よけ(グレープガード)を導入したりするなど、試行錯誤をしながら畑を拡大してきました。現在では、ピノ・ノワールの品種個性を充分に発揮し、そして、日本らしい繊細な味わいのワインが生み出されるようになりました。
【ヴィラデストの丘の上にある畑】 | 【田沢地区の畑】 |
ヴィラデストのピノ・ノワールの畑には、大きく分けて【ヴィラデストの丘の上にある畑】と【田沢地区の畑】の2か所があります。畑の土壌は、前者は褐色森林粘土で、後者は火山灰性黒ボク土。それぞれの畑から収穫されたブドウで仕込んだワインは、色合い、味わい、香りともにかなり異なるキャラクターを持ち、それぞれの魅力を持っています。そして、通常、みなさまにお楽しみいただいている「ヴィラデスト ピノ・ノワール」は、その2つの畑から生まれたワインを原酒として、最終的にブレンドすることで、調和(ハーモニー)をとっています。
ヴィラデストワイナリーは、2003年に東御市初のワイナリーとして誕生し、来年で20周年を迎えますが、今年は、「20周年プレ企画」として、ピノ・ノワールのこのようなテロワールの違いを味わっていただく企画を準備しています。
ピノ・ノワールのそれぞれの畑を見学し、ワインの違いを樽の段階で確かめ、そして各樽を後日別々にビン詰めし、それらのワインをお届けする特別企画です。詳細については、近日中に発表いたしますので、ご興味のある方はぜひご検討ください!!
世界的に不安定な状況が続いていますが、一刻も早く平穏で平和な世界を取り戻し、ワインを心から楽しみたいものです。
剪定作業を始めました!
今年は久しぶりの寒い冬で、最低気温がマイナス10℃を下回ることも何日かありました。このように寒い日が続くと、凍害によってブドウの樹が枯死したり、病気を引き起こしてしまったりすることが心配されます。
剪定による切り傷がブドウの樹にダメージを与えることを少しでも避けるため、ヴィラデストでは少し寒さが和らぐ、2月上旬頃から剪定作業を開始することが多いです。スタッフには、これから始まるシーズンを元気に乗り切るため、1月中は少しのんびり過ごしてもらっています。
今年の2月は、福島県でワイン製造の講義、ホテルメトロポリタン長野での「NAGANO ワインフェス」、大阪での試飲イベントなど、2年ぶりに出張の予定がいろいろあったのですが、オンライン開催もしくは中止になりました。2年前にコロナが広がり始めたころには、このようにオンラインで講義やイベントが普通にできるとは想像できませんでした。これをきっかけに、この分野は更に進化しそうですが、デジタルで便利になった分、これまで以上にリアルである価値の大切さが求められる時代になるのだろうと考えます。剪定作業をしながらも、この景色の素晴らしさはリアルでないとなかなか伝わらないなと思いました (私の写真では、ですが)。
昨年伸びた枝を切り戻し、昨年の春先の状態にブドウの樹をリセットする剪定作業は、まだまだ始まったばかり。ワイナリーの周りから開始して、田沢地区、千曲川対岸の八重原地区、そして、御堂地区。合計約12ヘクタールすべてを終えるのは、3月中旬頃になりそうです。
剪定作業の合間には、防獣柵の設置や、苗木の接ぎ木作業、シードルのビン詰めなども行いつつ、2022年のシーズン本番に向けて、静寂の中、着実に準備を進めています。
上で少し触れましたが、2月19日(土) に「NAGANO ワインフェス」がオンライン開催されます。
私も登場予定です。NAGANOワインを片手に、ぜひご参加ください!!
https://www.nagano-wine.jp/news/event/nagano-wine-fes-in-2022.html
*ワイン付きの有料参加枠は、すでに完売したそうです
今日は朝からずっと雪が降り続いています。
2022年も、よろしくお願いいたします
2022年になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
先日の3連休は、自宅の庭にあるブドウの樹の剪定を行いました (とは言っても10本ほどですが)。
我が家より250mほど高いヴィラデストのブドウ畑では、寒さのピークが過ぎる2月初めごろから開始する予定の剪定作業ですが、個人的には畑作業の中で一番好きな仕事です。
冬の静寂の中で黙々と昨年伸びた枝を切り戻し、今年、そして未来の樹形を形作る作業。20年以上もやっていると、あまり考えなくても体が勝手に動くようになっていますので、心が落ち着くとともに、今年のワインづくりに向けて気持ちが高まるのを感じます。
ヴィラデストワイナリーは、2003年10月に東御市初のワイナリーとして醸造を開始しました。それから19年目となり、来年には20周年を迎えます。この19年の間に、東御市内のワイナリーは12軒まで増えました。
2013年に玉村が『千曲川ワインバレー ~新しい農業への視点(集英社新書)』を書いたのを契機に “千曲川ワインバレー”という言葉も定着し、千曲川沿いに、2003年には5軒程度だったワイナリー数も30軒ほどに急増しました。
ヴィラデストの“兄弟ワイナリー”であるアルカンヴィーニュでは、2015年から「千曲川ワインアカデミー」を開講し、千曲川ワインバレーを中心として日本各地で卒業生が活躍するようになりました。全国のワイナリー数も400を超えたようです。
また近年、日本ワインの表示ルールも整備され、昨年は国から「GI長野(Geographical Indication:地理的表示)」の指定も受けました。昨年は長野、山形、大阪のGI指定があり、これまで指定されていた山梨、北海道を含めると日本ワインの8割以上を量的にはカバーするようになったそうです。
GI認定を受けているワインは、製法や成分など決められた条件をクリアし、さらに官能検査でもその品質が一定以上であると認定されたもの。消費者にとっては、そのワインを安心して手にとることができますし、また、各産地のブランド化にも大きく貢献すると期待されます。特に日本のワインのことを全く知らない海外の人からすれば、日本の産地を理解するうえでの大きな指針になるのではないでしょうか。
このように、ヴィラデストができてからの19年間で、日本ワインを取り巻く状況は大きく、そして良い方向に変わりました。しかし、未だに、日本国内で消費されるワインの中で、日本ワイン(日本国内で栽培されたブドウを100%使用して日本国内で醸造されたワイン)の占める割合は、わずか5%程度だそうで、もっと消費者の認知を高めていく努力が必要だと考えています。
また、海外のワイン先進国ではよく見る、共同のビン詰め設備や製品倉庫、農業機械、そして、苗木のウイルス問題や少ない品種の選択肢など、ワイン産業を支えるインフラ面で解決していくべき問題はたくさんあります。
個々のワイナリーの努力ももちろん必要ですが、全国で400(長野県内で60)を超えたワイナリーが、地域的にそして全国的に、協力して解決していくことの重要性はますます高まってきているのではないでしょうか。
今年の1月、2月は、試飲を含めた多くのイベントが計画されているのですが、直近のコロナ感染者数の急増を受けて、すでに中止が決まったものもあります。出鼻をくじかれた感もありますが、コロナ禍も3年目に入り様々な対処法やノウハウが蓄積されてきていますので、開催されるものも多いだろうと期待しています。
すぐに“アフターコロナ”とはいかない状況ですが、“ウィズコロナ”の中で、しっかりと前を向いて進んでいきたいと考えています!
まずは、大宮で開催される長野県ワイン協会主催のセミナーをご案内します。オンラインでの参加も可能なので、ぜひご検討ください!!