醸造家のワイナリー通信

梅雨明け、そして夏本番です

今年は、例年より遅い6月21日に梅雨入りしました。また、ブドウの開花は例年より少し早めの6月10日過ぎでした。開花時期に雨が降り低温になると、結実不良になることがあるのですが、今年は開花時期と雨がぶつからず、良好に受粉・結実したのではないかと思います。梅雨入り後は、それなりに雨が降りましたが、シトシトと降り続くこともなく、今のところ病気の発生は非常に少なく、ブドウは順調に生育しています。

 

そして、ここ数日は梅雨末期の大雨の様相になっていましたが、昨日7月18日、気象庁より関東甲信地方の梅雨明けが発表されました。新梢はまだまだ伸びますが、畑では摘芯アタッチメントを装着したトラクターも大活躍し、スタッフ一同、元気に畑の管理に励んでいます!

 

昨年は、8月が異常に暑く、気象庁ホームページのデータをみると、2023年は過去最高の年平均気温でしたが、今年も連日のように猛暑がニュースになっています。ヴィラデストのブドウ畑は、標高が約690m~920mと高い場所にありますので、今のところ、温暖化によりブドウが以前より完熟するなど、どちらかと言えば良い影響の方が多いように感じていますが、更に温暖化が進むとブドウの酸の低下や着色不良、また、雨が増えることで病気発生のリスクが高まるなどの悪影響も増えてきます。ヴィラデストでも将来を見据えて、新しいブドウ品種を試験的に栽培していますが、ブドウのためにも、人間のためにも、あまり暑くならないで欲しいものです。

 

ワイナリーショップでは、6月から樽熟成のブランデー「オードヴィー・ドゥ・マール」を発売しました。ヴィラデストでは、ワイナリーができたときから、蒸留酒(ブランデー)にも取り組んできました。主に、ブドウの搾り滓(かす)を蒸留したもので、イタリアでは“グラッパ”と呼ばれるタイプの蒸留酒です。搾り滓は廃棄物になるのが普通ですが、ヴィラデストでは搾り滓を蒸留してブランデーを製造し、さらに蒸留したあとは堆肥化して畑に返しています。廃棄物から逆に価値あるものを生み出すアップサイクルといえます。

 

イタリアの“グラッパ”は、樽で貯蔵しないホワイトブランデーが一般的ですが、一部では樽で熟成したプレミアムな“グラッパ”も製造されています。ヴィラデストでも、これまでは樽熟成しないタイプしか販売していませんでしたが、私は2007年に“樽熟成グラッパ”で有名なイタリア・ピエモンテのベルタ蒸留所で研修をさせていただいたこともあり、数年前からブランデーの樽熟成に取り組み、今回ついに販売を開始しました。
果実感と樽の風味が溶け合い、リッチで余韻の長い味わいです。数量が限られるため、ワイナリーショップ限定販売となりますが、ご来場の際には、ぜひお試しください!!

ブドウの開花が進んでいます

ブドウ畑では新梢が勢いよく伸びています。しばらくはどんどん伸びますので、枝をまっすぐ立てて整理をし、風通しや日当たりを良くすることで、病気を防いだり光合成を促したりといった作業を進めます。
先月5月10日には、ヴィラデストを含む広い地域で霜害が発生しました。ヴィラデストのブドウ畑への被害は軽微だったものの、改めて自然の中で営む農業の宿命を思い知らされました。今年は梅雨入りが遅れていますが、雨に弱いブドウにとって、この梅雨をいかにうまく乗り切るかがポイントになります。そして今、ブドウ畑では開花が進んでいます。開花から100日で収穫と言われますが、自然とうまく折り合いをつけて、今年もよい収穫が迎えられるようスタッフ一同がんばります。

 

ここ数年、千曲川ワインバレーでは、「千曲川ワインゴーランド」と題して5月後半の週末に多くのワインイベントが開催されています。コロナ禍で一箇所に多くの人が集まることが難しい状況の中、地域の中で複数のワインイベントを周遊するというものでしたが、コロナ後も、爽やかな初夏の気候の中でワインを楽しむイベントとして定着してきました。
5月11日、12日には、10回目となる「東御ワインフェスタ」が開催されました。このイベントを始めた頃には市内にワイナリーは3つだけでしたが、今では14となり、個性あふれるワインやフードが集まるイベントになりました。

 

6月1日には、「ヴィラデスト ワイナリー祭り」を開催しました。イベントの前日と翌日は雨だったのですが、当日は初夏の爽やかな天候の中で、ヴィラデストOBや日頃から交流のある飲食店の皆さんにも出店していただき、和やかに楽しいお祭りになりました。多くのお客様にご参加いただき、本当にありがとうございました!

 

6月8日には、日本ブドウ・ワイン学会西日本地域研究会(@京都大学農学部)において、『信州上田、東御におけるワイン造りへの挑戦』というテーマで、信州うえだファームの船田顧問、藤崎さん、そして、ファームの元研修生で「千曲川ワインアカデミー」1期生でもある、スターダストヴィンヤードの星野さんと一緒にお話をさせていただきました。
信州うえだファームは、主に耕作放棄地を再生して、育成した研修生を就農させるという取り組みをされています。また、星野さんは内科医の仕事を続けながら、ブドウを育て委託醸造でワインをつくっています。この10年間の取り組みで、広大な耕作放棄地がワインブドウの畑に生まれ変わり、様々なキャリヤやバックグラウンドを持つ人たちが千曲川ワインバレーでワイン造りに関わるようになったこと、それによって、地域に変化や活気が生まれていることの価値を、私としても改めて考える時間になりました。

萌芽が始まりました

ゴールデンウィークの開始とともに、シャルドネの萌芽が始まりました。
今年は1月、2月は暖冬だったものの、3月から4月前半は気温が低い状況が続きました。しかし、このところ、急に暖かく(暑く)なって、例年より数日早い萌芽になりました。
これから5月半ばあたりまでは、遅霜のためにせっかく出た芽が被害を受けるなどの心配がありますが、萌芽前の結果母枝誘引や、休眠期の防除としての石灰硫黄合剤散布等の作業を順調に進めることができ、ホッとしています。
萌芽するとブドウの新梢はぐんぐん伸びて約2ヶ月で1メートルほどになります。新梢の誘引、雑草の管理など、これからグリーンシーズンが始まり、加速度的に畑仕事が忙しくなってきます。

ワイナリーの中では、2023年ヴィンテージワインの瓶詰めも順調に進んでいます。昨年の夏は記録的な猛暑になったこともあり、より熟した果実のニュアンスを感じる、昨年の気象条件を反映したワインに仕上がってきています。アイテムによりリリース時期は異なりますが、早いもので今年の夏頃からの発売となります。ご期待ください!!

2019年から植栽を開始した、御堂ワインブドウ団地の畑の苗木が育ってきました。
畑の間を通る道路の舗装などの整備もいよいよ終盤になり、また、御堂地区のワインのテイスティングやボトル販売を行う施設も建設中ですので、今年度中には一般のお客様も訪れることができる場所になりそうです。ヴィラデストとはまた違った角度から見渡す、千曲川の流れや日本アルプスの眺めはとても雄大です。
御堂ワインブドウ団地では、合計11のワイナリーやブドウ生産者がワインブドウを栽培しているのですが、販売施設が完成した暁には、11の生産者が集合してのイベントなどを仲間と計画してみたいと思っています。

1年前の5月8日に新型コロナウイルスの位置づけが「5類感染症」になりましたが、今年はワインイベントが各地で開催されています。
4月23日(火)には、大阪、ワインショップFUJIMARUさん主催の「Meet the Japan Wine in Osaka」が京セラドーム大阪・スカイホールで開催され、出展いたしました。日頃、東京での試飲会出展の機会が多いので、年1回のFUJIMARUさんの大阪での試飲会は、西日本を中心とした料飲店や一般のお客様にお会いできる貴重な機会です。
昨年のA.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクールにて第3位に輝いたリーズ・チョイさんやヴィラデストのワインを香港で販売していただいているケネス・リーさんも参加くださり、忙しくも長く楽しい一日でした。試飲会の終了時刻が、京セラドームで開催されていたオリックス対西武戦の終了時刻と重なったため、電車に乗れるか心配しましたが、なんとかセーフでした!

数年前から、千曲川ワインバレー東地区では「千曲川ワインバレーワインゴーランド」と題して、5月から6月にかけて千曲川流域で多くのワインイベントが開催されているのですが、5月11日(土)、12日(日)には「東御ワインフェスタ2024」が開催されます。
このフェスタは10年ほど前に当時市内に3軒だったワイナリーと行政、酒販店の方などが会議を重ねて立ち上げたのですが、このところ少しマンネリ化していたため、今年から時期をこれまでの9月から5月に変え、市内に14軒と増えたワイナリーの若手が中心になってリニューアルして開催します。
https://tomikan.jp/genre/see/event/tomiwinefesta2024/

そして、6月1日(土)には「ヴィラデスト ワイナリー祭り」が開催されます。こちらも例年は11月に開催していますが、今年は6月に時期を移して開催します。日頃のヴィラデストとは少し趣が異なり、気軽にお子様連れでも楽しんでいただけるお祭りになる予定です!
詳しい情報は、今後、ヴィラデストワイナリーのホームページ、InstagramなどのSNSで発信していきます。
多くのお客様のご来場をお待ちしています!!

ようやく春がやってきました

今年の冬は1月、2月と暖冬でしたが、一転して3月は低温で雪や雨がよく降りました。雪や雨のため、畑仕事がなかなかはかどりませんでしたが、今は剪定作業が終了し、結果母枝の誘引作業を進めているところです。桜の開花は全国的に遅れていますが、このところ急に暖かくなってきましたので、ブドウの萌芽はほぼ例年並みのゴールデンウィーク頃になるのではと考えています。

ワイナリーでは2023年ヴィンテージの瓶詰めに向けて、ワインの樽出作業などを始めました。昨年の夏は記録的な猛暑になったこともあり、より熟した果実のニュアンスを感じるワインに仕上がってきています。アイテムによりリリース時期は異なりますが、早いもので初夏頃からの発売となります。ご期待ください!!

 

畑仕事などが本格的にいそがしくなる前の3月には、東京でいくつかのイベントに参加させていただきました。
3月20日には、パーク ハイアット 東京のレストラン、日本料理「梢」様にて、スペシャルワインディナー「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」を開催していただきました。「シュヴァリエ デュ タストヴァン」を持つ内藤邦夫氏のナビゲートで小西がヴィラデストのワインやワイナリーの紹介をし、吉田料理長が創り上げる和食とヴィラデストワインのペアリングをご堪能いただきました。すべての料理とヴィラデストワインの相性がすばらしく、料理とワインが完全に一体になっているようで感動しました。また、ソムリエチームの皆さんも、完璧な状態でワインを提供していただきました。ラグジュアリーな雰囲気の中、いつも以上に、ワインが真価を発揮しているように感じました。

また、3月24日、25日には、日本農芸化学会創立100周年記念大会の「Social gathering(ソーシャルギャザリング)」に出展させていただきました。10のワイナリーと酒蔵が、その相性を考え尽くしたフードと共に各自のお酒を提供し、1000人以上の研究者や学生が参加しました。ヴィラデストは東京・新富町のcoulis(クーリ)折笠シェフ(ヴィラデストカフェの元シェフ)とコラボレーション。「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ」には、その剪定枝を煮出した出汁で焼いたパンの上に、ヴィラデストで採れたフキノトウをつかったアイスをのせたフィンガーフードをあわせましたが、素晴らしいペアリングで大評判でした。

 

私自身、大学では農学部農芸化学科で学んだのですが、農芸化学は、土壌学、植物栄養学、有機化学、生物化学、微生物学などを包括し、今から思えば、すべてがブドウ栽培やワインづくりに関わる学問。大学時代には、将来ワインをつくることになるとは全く考えていませんでしたが、その縁に驚きます。大会実行委員長を務められた東京大学の東原和成先生が挨拶の中で、「ワインを飲むときには、その時に見た風景や、会った人、聞いた話などの情報を処理する脳の箇所が活発に働いていて、それらが共感覚となり記憶される」という話をされていました。「食」のサイエンスを支える研究者や学生の皆さんが、この場での体験を通じて、日本ワインや日本酒に興味を持ち、今後の活動に活かしていただければ嬉しいです!!

春が近づいてきました

2月も中旬を過ぎ、徐々に太陽の光が強くなってきました。

25日にまとまって降った雪も、日陰を除けばほぼ解けて、剪定作業は順調に進んでいます。これからしばらくは、暖かくなったり寒くなったりしながら春が近づいてきます。

 
平年の冬だとヴィラデストは-10℃以下になることも多く、降雪量が元来少ない地域なので、寒風がブドウの樹を直撃して発生する凍害を心配することが多いのですが (そのために若木には幹に藁を巻いています)、今年は暖冬傾向で今のところその心配はなさそうです。

ただし、この時期に暖かくなりすぎると、休眠から目覚めたブドウの樹が樹液を吸い上げ、再度寒くなって凍害にあうということもありますので、まだまだ安心はできません。

12ヘクタールあるブドウ畑の剪定作業は3月中旬まで続く予定です。


この時期、ワイナリーは比較的時間の余裕があるので、メーカー間の交流や勉強会がおこなわれたり、一般消費者や業界関係者向けの試飲会なども多く開催されます。

先日、カリフォルニアでワインをつくっているブルゴーニュ出身のワインメーカー、ステファン・ヴィヴィアさんが、ヴィラデストやアルカンヴィーニュを訪問されました。ワインの伝統国フランス、新興国アメリカで長い経験を積んだステファンさんは、超新興国である日本におけるワインの可能性や、チャレンジ精神に非常に興味を持たれていました。とても気さくで親しみやすい人柄で、話がはずみ、私もとても刺激を受けました。

来週はスタッフとともに、県内のワイナリーをまわって、主に畑での作業や作業機械について、話を聞きに行く予定です。
着々と剪定作業を進めながらも、昨年よりもパワーアップしたチームで春からの新しいシーズンを迎えられるように準備をしています。

去る28日には、松本市で長野県ワイン協会主催の業者(酒販店、飲食業、宿泊業など)向けの試飲会が開催されました。長野県内を中心に360名が来場し、活発な試飲・商談がおこなわれました。本格的に“コロナ明け”となって、新たにNAGANO WINEに力を入れようとしている飲食店や宿泊業関係の方が目立ちました。また、輸出関係の問い合わせが増えたのも印象的でした。

 

来月320日には、パーク ハイアット 東京のレストラン、日本料理「梢」様にて、スペシャルワインディナー「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」を開催していただきます。「シュヴァリエ デュ タストヴァン」を持つ内藤邦夫氏のナビゲートで小西がヴィラデストのワインやワイナリーの紹介をし、吉田料理長が創り上げる和食とヴィラデストワインのマリアージュをご堪能いただきます。

詳しくはこちらをご覧ください
https://restaurants.tokyo.park.hyatt.co.jp/news/5136.html

 

そして、いよいよ31日からはヴィラデストのワイナリーショップ、カフェが冬季休業を終えて、再開します。

ワイナリーで皆様にお会いできることを楽しみにお待ちしています!!

2024年もよろしくお願いします

ヴィラデストでは年末年始、少し長めの休暇をとり、19日から仕事を開始しています。

カフェとショップは1月、2月はお休みをいただいていますが(31日オープンです)、セラー内作業など冬の仕事を着実に進めています。

今のところ気温は比較的高めで(といっても-5℃くらいまでは下がります)、雪も少ない冬ですが、例年、1月末頃は最も冷え込む時期ということもあり、現在はセラー内でワインのラベルを貼るなどの作業が中心です。また、昨年仕込んだワインを樽で熟成していますが、2週間に一度は、蒸発して減ってしまうワインを補って、樽が満量の状態にする「ウイヤージュ(補酒)」を行います。樽の上部に空間があると、酸素を好む産膜酵母が増えて、オフフレーバーの原因になるからです。

   

2月になると太陽の光が少しずつ強くなってきますので、悪天候でなければ畑にでて剪定作業を行います。剪定作業は、前年に伸びた新梢を切り戻し、樹形の維持や着果量の調整などにつながる作業で、今年だけでなく今後数年にわたってブドウの生育に影響を及ぼす大事な作業です。寒い中での作業ですが、逆に神経が研ぎ澄まされ、新たなシーズンが始まったという気持ちになります。

今年は2019年から植え付けを開始した御堂地区の畑の収穫が、一部の区画でいよいよ本格的になってきます。ヴィラデストでは、増産されるブドウを原料として、スパークリングワインなど新しいジャンルに挑戦していきます。

御堂地区の畑は、ヴィラデストをはじめ、10軒のワイナリーや農家が入る計27ヘクタールの“ワインブドウ団地”で、対岸のメルシャン・マリコワイナリーに並ぶ本州最大規模の一面のワインブドウ畑です。

今年中には畑の一角にワインの試飲・販売施設を東御市が建設する予定で、一般の方が訪れることができる場所にもなります。一面のブドウ畑から見下ろす千曲川流域の景色は圧巻です!

今年は、ヴィラデストの兄弟ワイナリー「アルカンヴィーニュ」で開催する、「千曲川ワインアカデミー」が10年目を迎えます。千曲川ワインバレー周辺には、卒業生が中心となり、ワイナリーが急増しています。地域のワイナリーや行政、関連する様々な業種の方と連携して、千曲川ワインバレーがこれまで以上に国内外から多くの人が訪れる、魅力のある産地になるよう盛り上げていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします!!

今年もありがとうございました

2023年も、残すところあとわずかになりました。

今年は過去に例を見ないほどの猛暑と少雨の夏になりました。これまでにない異常気象のため、どのようにブドウが熟するのか予想が難しい年ではありましたが、結果的に、ブドウの糖度や熟度は上がり、病気も少なく、2023年ヴィンテージは濃縮感のあるワインが期待できそうです。

 

ブドウの収穫が終わってから、畑への堆肥の投入や、ブドウの若樹を冬の寒さから守るための藁巻きを、本格的な寒さが到来する前に実施しました。12月10日頃にはシードルの仕込みをおこない、現在、冬の寒さの中、低温でゆっくりと発酵が進行しています。

 

12月も長野県内や東京でいくつかのイベントに参加させていただきましたが、1213日には、「『日本ワインを知る・千曲川ワインバレーの歩み!』~ヴィラデストワイナリー20周年&アルカンヴィーニュpre10周年特別試飲会~」(株式会社CruX主催)を、東京・大手町にて移転オープン直前の NINJA TOKYO で開催いただきました。

長い間お世話になっている方や新たに知り合う方、多くの方々にご来場いただき、ワインを楽しんでいただくことができました。この20年でヴィラデストの畑は拡がり、ブドウの樹の樹齢も高くなり、ワインのバラエティや味わい深さが増したことを感じていただけたのではないかと思います。

また、ヴィラデストの “兄弟ワイナリー” である「アルカンヴィーニュ」や、アルカンヴィーニュで開催する「千曲川ワインアカデミー」の卒業生5名も参加し、卒業生が委託醸造するワインも楽しんでいただきました。

千曲川ワインバレーのこれまでの歩みや現状、魅力を感じていただけたのではないでしょうか。

 

今年は、ゴールデンウイーク明けの58日から新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」になり、本格的に社会活動が活発化しました。私たちもコロナ禍以前よりも多いくらいの社外のイベントに参加し、ヴィラデストとしては創業20周年の記念イベントや4年ぶりの「ワイナリー祭り」を開催するなど、多くのお客様とお会いし、直接お話しする機会がたくさんありました。

また、今年は多くのボランティアの方々にブドウ収穫のお手伝いをしていただき、あらためて、ワインを通じた交流の大切さを認識させられました。

 

2023年、今年もヴィラデストをご愛顧いただき、本当にありがとうございました!
2024年が、皆さまにとってより良い年になりますように!!

2023年ヴィンテージワインの樽熟成を開始しました

10月末にブドウの収穫が終了しましたが、その後もワイナリーの中では、赤ワインの“かもし発酵”やプレス作業が続いていました。
赤ワインは果皮を果汁に漬け込みながら発酵(=かもし発酵)し、その間にアントシアニンなどの色素や渋みのもとになるタンニン分を抽出するわけですが、お茶や紅茶を淹れるときと同様、ほどよい抽出が大事で、“かもし”をどれくらいの日数行うのか、1日に何回攪拌するのかなどの、ワインメーカーの判断が重要になります。

また、“かもし発酵”をする際に、ブドウをどれくらいつぶすかにも気を遣っています。
ブドウを完全に破砕すると、発酵は短期間で終了しますが、味わいが単調になるように感じていて、完全につぶすのではなく中程度にブドウをつぶしたり、半分は破砕するが残りは全く破砕しなかったり、「ヴィラデスト ピノ・ノワール」であれば一部は房ごと“かもし発酵”をしたりなど、いろいろなつぶし加減のブドウ粒が混在するような状況で発酵することにより、ワインの味わいに複雑さや奥行きが加わればよいとイメージしています。
“かもし発酵”は2週間から3週間程度で終了し、その後、果皮やワインが一緒になっている“もろみ”をプレス(=圧搾)して、若いワインが得られます。その際にプレス機で圧搾する圧力も重要で、強すぎると渋いワインになりますし、弱すぎても物足りないワインになります。

 

11月中旬に最後に残っていたカベルネのプレスを終えて、2023年ヴィンテージのワインはすべて樽やタンクにおさまり、白ワインは来年の春、赤ワインは来年の秋、長いものでは再来年の春までゆっくりと熟成していきます。2023年は雨が少なく暑い年だったので、その気候を反映した濃縮感のあるワインが期待できそうです。

11月は「ヴィラデスト ワイナリー祭り」や東京でのイベント、軽井沢でのワインメーカーズディナーなど、いろいろな場所でお客様と交流し、今年のヴィンテージについて報告させていただく機会が多くありました。
さらに、12月13日には、東京・大手町にて、CruX社主催の「『日本ワインを知る・千曲川ワインバレーの歩み!』~ヴィラデスト20周年&アルカンヴィーニュpre10周年特別試飲会~」が開催されます。
ヴィラデストのワインが勢揃いするだけでなく、“兄弟ワイナリー”のアルカンヴィーニュや「千曲川ワインアカデミー」の卒業生も参加する、またとない機会です。
当日は、小西も東京に参ります。チケットはまだ若干の余裕があるようですので、ぜひ参加をご検討ください!

◆特別試飲会の詳細や参加申込はこちらから◆

 

2023年の収穫が終了しました!

10月25日のカベルネを最後に、2023年の収穫が終了しました。
今年は猛暑で少雨の夏でした。秋も雨が少なく、今のところ台風の影響もほとんどありません。9月15日に収穫を開始した時はまだ夏のようでしたが、9月の後半から朝晩の気温がぐっと下がり、昼夜の寒暖差の大きい、とてもよい条件で収穫を進めることができました。
暑い気候の影響を受けて、例年と比べるとブドウの糖度が高く、酸は穏やかではありますが、濃厚で熟したフルーツのニュアンスを感じるワインになるのではと考えています。
標高の高いヴィラデストのメルローやカベルネは、涼しい年だと少しブドウの熟度が足りないと感じることもありますが、今年は過去にないほど熟度が高く、そのブドウからできるワインが楽しみです。
今年はコロナ明けということもあり、延べ50名以上と、多くのボランティアの方に収穫を助けていただきました。皆さん、本当にありがとうございました!

 

収穫はひと段落ですが、ワイナリーではステンレスタンクやオークタンク、オークバレル(小樽)の中で発酵が順調に進んでいます。ここのところ朝晩冷え込むようになりました。一部のステンレスタンクには冷却設備もあり、温度コントロールができますが、木製の樽などは室温での発酵になります。
ヴィラデストでは、収穫の最盛期には気温が下がり、自然の室温であってもちょうどよい発酵温度で管理ができることが多く、ブドウ栽培だけでなく、醸造面でも優れた“テロワール(風土)”なのだと感じています。

 

ヴィラデストでは、赤ワインの搾りかすを原料として、蒸留酒(商品名:「ヴィナッチャ」。イタリアでは“グラッパ”と呼ばれるブランデーの一種)をつくっています。赤ワインは果皮や種を漬け込んで発酵をし、発酵が終了すると搾って果皮とワインを分離します。その分離した果皮に熱を加えてつくるのが「ヴィナッチャ」です。
日本ではほとんど製造されていないこともあり、私自身、2007年にイタリア・ピエモンテの名門「ベルタ蒸留所」で研修をさせていただき、蒸留器の構造や蒸留のノウハウを学んできました。
赤ワインを搾って、すぐにヴィナッチャの蒸留にとりかかると、ワイナリーには甘い干しブドウのような香りが漂います。

 

11月18日には東京でのイベントに参加させていただきます。
ベルサール六本木での「ヴァン・ジャポネ・フェス」と、東京ミッドタウン八重洲での「信州のIPPON!~長野の日本酒&ワインと出会う1日~」が同日開催。
皆様にお会いできることを楽しみにしています。ぜひ、ご参加ください!!

https://nihonwine.jp/vjf2023/

https://www.nagano-sake.net/information/5139

ブドウの収穫が始まりました!

今年は、私のヴィラデストでの20年余りの経験の中で最も早い、915日の自社畑での収穫開始です。

     

722日に梅雨明けしてから、史上最高と言われる高温が続き、雨の非常に少ない天候が続いています。ヴィラデストの圃場に設置した気象ポストでも、梅雨明けからのおよそ2か月間の降水量は200mmを切っています。この雨もほとんどが激しい夕立でしたので、雨の降っている時間はかなり短い印象です。

昨年2022年は、お盆明けから雨が降り続き、日照が極端に少なかったのと比べると対照的です。昨年はなかなか糖度が上がらずに苦しみましたが、今年はブドウの糖度は順調に上がっています。ただ、酸度は反比例して下がっていきますので、ペース良く収穫していく必要があります。2023年ヴィンテージは、平年のヴィラデストの冷涼な気候を感じさせる味わいとは異なり、しっかりと熟した果実味を感じるワインになりそうです。

     

まずは、ピノ・ノワール、そして、ソーヴィニョンブラン、ピノ・グリ、シャルドネ、メルロー、カベルネと10月中旬頃まで収穫・仕込みが続きます。しばらくはまた気の抜けない日々が続きますが、ブドウのポテンシャルをしっかりと抽き出し、この年の特徴を映し出すワインを目出して頑張ります!!