醸造家のワイナリー通信

赤ワインのプレスも終了しました!

すっかりブドウの葉も紅葉し、落葉も間近になりました。

今日(1117日)の、カベルネの圧搾(プレス)、そして、搾りかす(ヴィナッチャ)の蒸留をもってブドウの仕込はすべて終了しました。

あと、12月にリンゴのシードル仕込が少しありますが、無事にブドウのシーズンを終えることができて、まずはホッとしているところです。

今年の夏は猛暑で、例年より2週間以上早めの9月頭に収穫を開始しました、その頃は暑い中での収穫だったのが嘘のように、今はすっかり寒くなりました。例年、9月から11月中旬の時期は収穫、仕込に追われて、時間があっという間に過ぎてしまうものですが、これからようやく少し落ち着いて仕事ができるシーズンがやって来ます。

 

今年は夏の雨が少なく、そのおかげでとても健全なブドウを収穫することができました。病果が少ないので、収穫も非常にスムーズでした。また、ブドウが健全でないと、様々な雑菌が増えて、オフフレーバーの発生につながったり、雑菌の繁殖を防ぐために亜硫酸塩の使用量を増やしたりなどしなければならず、健全なブドウを収穫できることのありがたさを改めて感じました。健全なブドウを健全に醸すことで、クリーンでその土地の風土を反映した味わいのワインになります。

健全なブドウを収穫するためには、まずはその土地の気候にあった品種を選択することが大事です。長野県東御市は全国的にみても小雨で晴れが多く、また標高が高いので日本の中では冷涼で、私たちの栽培しているフランス原産の品種に適しています。

ただ、そうは言っても雨の多い年もありますし、近年の温暖化で気候も変化しています。私たちも特に繊細なピノ・ノワールには雨よけを導入したり、雨や暑さに強い品種を試したりしていますが、自然の中での栽培では思い通りにいかない時もあります。

これからの冬の間には、様々な講師を招いた講演会などが開催されます。スタッフと一緒に、来年に向けて勉強したいと考えています。

2025年の収穫、仕込が(ほぼ)終了しました

 2025年の収穫及び仕込が(ほぼ)終了しました、残るは少量のカベルネフランとカベルネソービニヨンです。
これまでお伝えしているように、今年の夏は過去最高の暑さ、また非常に雨が少ない夏になりました。その影響で、ブドウの熟度が上がるのが早く、ヴィラデストとしては異例の9月あたまからの収穫開始になりました。しかし、その後、曇りの日が多く、雨もそれなりに降ったので、最終的には糖度はほどよく高く、酸は落ちすぎず、病気の発生は少なく、とてもいい状態のブドウが収穫できた良年になりました。
収穫終了といっても、ワイナリーの中では、まだ発酵は続いていますし、樽の管理や赤ワインのプレス、グラッパの蒸留などの作業も残っていますので、この素晴らしいブドウのポテンシャルをしっかりと抽きだしたワインに仕上げられるように、スタッフ一同作業に当たっています。

また、今年は100名をこえるボランティア、アルバイトの方に収穫をお手伝いいただきました。お陰様で12ヘクタールの畑でスムーズに収穫を進めることができました。
本当にありがとうございました。
今年はブドウが健全であることもあり、例年以上に収穫を楽しんでいただけたように思います。収穫の合間には工場で発酵の様子を見学していただいたりなどして、2025ヴィンテージのリリースが楽しみ、という声をたくさんいただきました。また、市内でワインブドウ生産者やワイナリーが増えたこともあり、収穫ボランティアついでにワイナリー巡りを楽しむ人もたくさんいらっしゃいました。

また、ヴィラデストでは、赤ワインの搾りかすを原料として、蒸留酒(商品名:「ヴィナッチャ」。イタリアでは“グラッパ”と呼ばれるブランデーの一種)をつくっています。赤ワインは果皮や種を漬け込んで発酵をし、発酵が終了すると搾って果皮とワインを分離します。その分離した果皮に熱を加えてつくるのが「ヴィナッチャ」です。
日本ではほとんど製造されていないこともあり、私自身、2007年にイタリア・ピエモンテの名門「ベルタ蒸留所」で研修し、蒸留器の構造や蒸留のノウハウを学んできました。赤ワインを搾って、すぐにヴィナッチャの蒸留にとりかかると、ワイナリーには甘い干しブドウのような香りが漂い、いよいよ今年の仕込みシーズンも終盤戦だなと感じています。

    

収穫、仕込が始まりました!

今年は過去最高の暑さ、また雨が非常に少ない夏になりました。その影響で、ブドウの熟度が上がるのが早く、ヴィラデストとしては異例の9月あたまからの収穫開始になりました。長期予報によると、9月、10月も例年よりも暑くなりそうとのことですが、ブドウの成熟スピードが速く、うかうかしていると収穫時期を逃してしまいますので、例年以上に気をつかって良いタイミングに収穫できるように務めています。9月に入っても暑い日が続いていますが、朝晩はようやく涼しくなってきましたので、この調子で昼夜の寒暖差の大きい好天がつづくことを期待したいです。今のところ、果実は健全で非常によい状態のブドウが収穫できています。

2025年ヴィンテージは、今年の気候を反映して、太陽の光を十分に感じる、果実感や濃縮感の高い素晴らしいヴィンテージが期待できそうです。

収穫終了の10月中旬まで、スタッフ一同、力をあわせて収穫やワインづくりに励みます。

 

2019年から栽培を開始した、御堂ワインブドウ団地の3ヘクタールのヴィラデスト畑でも収穫が始まりました。もう一息で成木といえるまで成長してきましたので、今年はまとまった収穫になりそうです。

この御堂ワインブドウ団地では、市内11のワイナリーや栽培者が、まとまった27ヘクタールの畑でワインブドウを栽培しています。各栽培者のブドウが育ってきましたが、この広大な畑はやはり壮観です。今年は、団地内にワインを販売したり、試飲もできる「ワインテラス御堂」が営業を開始しました。とても眺めのよいテラスやゆったりくつろげるスペースなどありますので、ぜひ一度お訪ねください。

畑で収穫したブドウはすぐに工場で仕込みに入ります。非常にいいブドウが収穫できていますので、醸造でそのブドウの力を十分に抽きだすように、細心の注意で仕込んでいきます。また昨年は、卵形のコンクリートタンクを使用したオレンジワインを初醸造しました(間もなく発売開始です!)。オレンジワインは白ワイン用のブドウを用い、赤ワインのように、果汁に果皮を漬け込んで、かもし発酵をしてつくるワインで、果皮由来のオレンジの色あい、あんずやドライフルーツ、紅茶やナッツを思わせる複雑な香り、適度な渋みが味わいに厚みを与える、余韻の長い味わいです。2年目の今年は、昨年得た知見を生かしつつ、さらに魅力的なオレンジワインを目指したいと考えています。

  

これから10月中旬まで収穫や仕込に追われることになりますが、ヴィラデストワイナリーではワインブドウの収穫ボランティアを募集しています。弊社ホームページなどから、専用応募フォームでお申し込みください。ワインブドウの収穫は結構単純な作業で、収穫していると雑念が払われて無心になれるので好きだという方も多いです。

ただ、飽き性の方にはあまり向いていないかもしれません。いずれにせよ、秋の休日、美しい景色の中でのブドウ収穫ボランティア、ご検討ください!

梅雨が明け、本格的な夏がやってきました!

今年は当地では、6月10日に梅雨入りし、7月18日に梅雨明けしましたが、全般として空梅雨で、ゲリラ豪雨的な大雨が降ることはありましたが、シトシトと雨が降り続くことがありませんでした。また、梅雨の合間も気温が高く、暑い日が続きました。

今のところ、ブドウ畑は病気の発生も少なく、順調に生育していますが、これからの夏も猛暑が続くと、縮果症や晩腐病などの暑い夏特有の生理障害や病気が発生するおそれがあり、まだまだ気を抜けません。

これからの時期は新梢の摘心により、ブドウ樹内の風通しをよくして病気を防いだり、除葉や摘房を実施して、ブドウの房に日光を当てたり、収穫量を調整してブドウの品質を上げたりという作業を行います。房に日を当てすぎると、前述の縮果症を招くこともあるので、適度に光をあててブドウの成熟を促してあげます。

今年も暑いので、例年より収穫開始日は早くなりそうです。昨年は9月10日頃の開始でしたが、今年は9月に入ったら臨戦態勢をとれるように準備していきたいと思います。ワイナリーの中では、2025年の仕込みが始まる前に、2024年ワイン(特に白)の瓶詰めを終えるべく、こちらも頑張っています。

暑い暑いと言っていますが、先日、東京に出張したらもっと暑かったです。やはり東御はそれでも涼しいですね!
ヴィラデストではガーデンも花が咲き、ブドウ畑も緑が美しい時期です。ぜひ、夏休みにおでかけください!!

梅雨入り、そして開花が始まりました。

6月10日に長野県でも梅雨入りし、それに伴って新梢の伸びも勢いを増しています。ブドウ畑では、例年より少し早めに開花が始まりましたが、梅雨入りしてから気温が低めなので、ゆっくりと開花が進んでいるようです。開花の時期は日本では梅雨の時期に重なりますので、雨や低温で開花後の結実がうまくいかないこともあります。また、雨によりカビ系の病気が発生したりなど、ブドウ栽培にとっては難しい条件が重なります。それでも東御エリアは、日本有数の雨の少ない地域。ヴィラデストではピノノワールに雨よけ(グレープガード)を導入するなど、工夫をしながら、この梅雨の時期を乗り切っていきます。

 

これから6月、7月と最も新梢が伸びますので、新梢内の風通しを良くし、葉への日当たりを改善するためのキャノピーマネジメント(新梢管理)や消毒、除草などに追われる日々が続きます。開花から約100日で収穫と言われます。これからの3ヶ月間の天気や畑での頑張りで、今年のワインの出来が決まりますので、12ヘクタールの畑は広いですが、スタッフ一同頑張ります! 

6月1日にはヴィラデストワイナリー祭りを開催しました。天気を心配しましたが、ほぼ雨が降ることはなく、多くのお客様にご来場いただき、ありがとうございました。イベントコーナーでは、過去約20年間の間に、私と一緒に畑やワイナリーで働いてきた元スタッフや現役スタッフとのトークショーも開催。すでに独立して東御市内でワイナリーを営んでいる元スタッフもいて、ヴィラデストのワインがこの地で生まれ、そしてそれぞれの形で発展し、産地として成長してきていることを感じました!!

萌芽が始まりました!

ブドウ畑では結果母枝(けっかぼし)の誘引や休眠期防除が完了し、いよいよ萌芽が始まりました。4月は寒い日も多かったのですが、ほぼ例年並みのゴールデンウイークの頃の萌芽になりました。これから本格的にブドウ栽培のシーズンが始まります。昨年、一昨年と異常な暑さのために、一部の畑では晩腐病などの病害による被害もありました。そのような畑では、ブドウの幹の樹皮を剥いて、丁寧に休眠期防除をするなどの対策をとり、今年はよい収穫が迎えられるように努力しています。

 

またコウモリガなど、幹に入って樹を枯らしてしまう虫の食害や、凍害などにより、生育途中で枯れてしまう樹もありますので、補植をしながら将来に向けて畑を維持していきます。

 

近年の異常気象で天候の変動幅が大きくなっています。異常に暑くなったかと思えば、冬は厳しい寒さになったり、雨が全然降らないかと思えば、大雨になったりなど。雨よけや防除などすぐにできる対策をしつつも、日本ワインブドウ栽培協会(JVA)とも協力して、将来に向けて新しい品種の評価をしていくことも重要と考えています。今年はどんなヴィンテージになるでしょうか。

 

2024ヴィンテージのワインの樽出や瓶詰も進めています。冬の間、のんびりと働いていたスタッフも、これからモードを切り替えて秋の収穫まで突っ走っていきます。

510日、11日は東御ワインフェスタが開催されます。10年以上前に始めたころは東御で3つだったワイナリーも、今では15軒になり、個性豊かな魅力あるワインが揃います。各ワイナリーの造り手が自らブースに立ちますので、ぜひ、参加いただき、それぞれの造り手と会話しながら楽しんでいただければ幸いです。

 

東御ワインフェスタ 2025

> 2025510() 

昼の部:12:0018:00、夜の部:18:3021:00(事前予約制)

> 511()  11:0016:00

JA信州うえだ ラ・ヴエリテ 屋外特設会場(雨天実施)

(しなの鉄道「田中駅」徒歩約5分)

★ぜひ“マイグラス”を持って、お出かけください★

春が近づいてきました

今年の冬は、3月になってからまとまった雪が降りましたが、それまではほとんど雪が積もることがなく、剪定作業が順調に進みました。ちょうどピノ・ノワールの剪定作業が終わったところです。
      
ヴィラデストでは、今、約1ヘクタールの畑でピノ・ノワールを栽培しています。玉村が1992年に植えたのが始まりです。ピノ・ノワールは果皮が薄いため、収穫前に雨が降ると果粒が割れやすく、そこから病気が拡がることもあり、いったんは栽培を諦めていたのですが、2003年にワイナリーが開業し、そして、2004年に畑を拡大する際に、新たに植え付けをしました。ちょうどそのころに、当時おそらく日本ではほとんど手に入らなかった、オーストラリアの「MV6」というクローンを、ある苗木業者さんが海外から輸入して販売を開始した時期で、それをタイミング良く入手することができました。
ブドウの樹は種(たね)で増やすのではなく、剪定枝を接ぎ木して増やしていきます。理論的には、1本の樹の剪定枝から無限にその樹のコピー(クローン)ができますので、各地で選抜された優秀な性質をもった系統が、それぞれクローン番号をつけて管理されています。

その後も、その苗木業者さんがピノ・ノワールの新たなクローンを海外から導入するのにあわせて、ヴィラデストでも数種類のクローン(115、667、777、UCD5、Abelなど)を導入し、試していきました。なかでも、最初に植えた「MV6」は小ぶりの房で、色づきも良く、比較的割れにくい性質があり、ヴィラデストの気候条件にあっていたようです。その後は「MV6」を中心に増やしてきましたが、それぞれのクローンには糖度が上がりやすいとか、香りが出やすいとか、色づきが良いとか、様々な特徴がありますので、ひとつのクローンに絞るのではなく、いくつかのクローンが併存することがワインの味わいの複雑さにつながると考えて栽培しています。
ただ、「MV6」が割れにくいといっても、ピノ・ノワールは他の品種と比べると雨に弱いですから、収穫前に秋雨が続いたり、台風がきたりすると大きなダメージを受けます。現在はブドウの房の上にビニールをかける「雨よけ(グレープガード)」を導入することにより、雨によるダメージを大幅に減らすことができるようになりました。
ピノ・ノワールは雨が少なく、また冷涼な気候を好みます。最近は北海道のピノ・ノワールが注目を集めていますが、長野の標高の高い畑(ヴィラデストは標高850m)のピノ・ノワールは、より豊かな果実感や柔らかい味わいが特徴で、長野の気候風土を反映した魅力を充分に感じられるワインになると考えています。長野の赤ワインというと、メルローがまず思い浮かぶと思いますが、ピノ・ノワールもぜひ試してみていただければ幸いです。

1月から3月にかけては、各地の試飲イベントに出展したり、スタッフと一緒に他社ワイナリーを訪問したりなどしました。
冬の間にリフレッシュ、そして、新しい知見を得て、また新しいシーズンに向けてスタッフ一同、頑張っていきます。

 

ショップ、カフェは1月、2月と冬季休業していましたが、3月8日からオープンしました。2025年のシーズンもいよいよ始まります。今年もワイナリーでお会いできることを楽しみにしています!

剪定作業がはじまりました

世間より長めの年末年始休暇をとり、充電完了したスタッフは、1月中旬からブドウの樹の剪定作業を開始しました。

 

剪定作業では、昨年伸びた新梢を切り戻し、樹形を整えると同時に、今年の収穫量の調整も行います。数年先を見据えて枝を切る必要がありますし、一旦切ってしまうと決して元通りにはならないので、剪定作業はブドウ栽培において、最も経験と技術が必要で大事な作業といえます。

ただし、ヴィラデストには3万本近くの樹がありますので、迷っている暇はなく、残す枝を瞬時に判断して仕事を進めていかなければなりません。静かな冬の畑で剪定作業をしていると、ブドウの樹と一緒に心もリセットされ、今年が良いシーズンになるようにと期待が高まります!

2023年、2024年と異常な暑さになりましたが、2025年はどんなヴィンテージになるでしょうか。“異常気象”と言われるのが普通になっている昨今ですが、その年の気象条件下でベストを尽くし、土地の個性、造り手の個性が感じられる、おいしいワインを生み出せるように努力しますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします!!

 

今年、ヴィラデストでは、シャルドネからつくる「オレンジワイン」や「スパークリングワイン」も発売の予定です。発売は春以降になりますが、ご期待ください!

「オレンジワイン」は、もちろん、果物のオレンジからつくるワインではなく、オレンジ色や琥珀色のワインのことで、白ワイン用のブドウを用い、赤ワインのようにブドウの皮と果汁を接触させながら発酵します。ブドウの皮や種から抽出されるタンニン分により適度な渋みとボディ感があり、アプリコットや紅茶のような独特の香りが特徴的です。

ヴィラデストでは、過去にも2009年にごく少量のピノ・グリを原料とした「オレンジワイン」をつくったことがあるのですが、昨年は、東御市・御堂(みどう)地区の自社畑産シャルドネを原料とし、導入したばかりのコンクリートタンクを用いて「オレンジワイン」を醸しました。コンクリートタンクはステンレスタンクよりも酸素を透過しますので、抽出されるタンニン分がより柔らかい味わいになると考えています。

 

先日は、長野県原産地呼称管理委員会のワイン委員会で「GI長野」の審査会に参加しました。“GI” は「地理的表示(Geographical Indication)」のことで、原産地の特徴と結びついた特有の品質や高い評価を備えている産品について、その原産地を特定した表示をすること。世界的に有名なものに「ボルドー」「ブルゴーニュ」などがあります。現在、日本国内では、ワインの地理的表示として北海道、山形、長野、山梨、大阪の主な5つの産地が国税庁によって指定されています。「GI長野」は2021年に指定され、4年ほどが経ちました。「GI長野」に認定されることで、ワインの素性や品質が保証されますので、ワインショップなどでワインを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

あらためてのご案内になりますが、2月1日(土)に「GI長野ワインフェス 2025」が軽井沢プリンスホテルにおいて、長野県ワイン協会主催で開催されます。長野県内約30のワイナリーが集結します。1部は酒販店や飲食店向け、2部は一般向けとなります。

ぜひ、ご参加ください!!

今年も残すところあとわずかになりました

ブドウ畑では防寒のためのわら巻きや堆肥の散布などの冬支度が完了したところですが、12月14日には初雪があり、いよいよ本格的な冬がやってきました。年末年始から1月下旬までは、栽培、醸造ともに1年で最も静かな時期で、スタッフもまとまった休みが取ることができます。しっかり休息、充電して、2025年のシーズンに備えたいと思います。

    

今年2024年のシーズンを振り返ってみると、年明けは暖冬でしたが、3月~4月前半は気温が低い状況が続き、ゴールデンウィーク頃には急に汗ばむほどの陽気となって例年より数日早い萌芽になりました。5月10日には、ヴィラデストを含む広い地域で霜害が発生。ヴィラデストのブドウ畑への被害は軽微だったものの、改めて自然の中で営む農業の宿命を思い知らされました。

梅雨入りは例年より遅い6月21日。開花時期に雨がぶつからず、結実が良好でした。梅雨入り後、雨がシトシトと降り続くことはなく、ブドウは順調に生育し、7月18日に梅雨明けが発表されました。今年の夏も昨年と同様で非常に暑く、収穫開始はヴィラデストでは過去最も早い9月10日となりました。猛暑の影響で酸がかなり下がるのではと予測していましたが、9月の曇天の影響で酸が下がり過ぎることはなく、例年以上に手間と時間をかけて丁寧に収穫した果実からは、2024年のヴィンテージを映し出す、ヴィラデストらしい透明感のあるワインができあがると期待しています。

先日、長野県ワイン協会のワイン研究会という勉強会で、日本ワインブドウ栽培協会(JVA)代表理事の鹿取みゆきさんが講演をされました。講演の中で最近の温暖化についてのお話がありましたが、やはりこの10年間の気温上昇は異常なものがあります。気温が上昇すると、熟期が早くなるだけでなく、病気の発生が多くなったり、ブドウの酸度が低下したりなどの問題が発生します。すぐにできる対策としては、収穫時期を早めたり、除葉の程度を弱めたりなどがありますが、長い目で見ると新しい品種への更新が必要になるかもしれません。JVAには私も理事の一人として協力していますが、北海道から九州までの理事や会員の皆さんと情報交換しながら、将来に向けた準備をしていきたいと考えています。

今年もヴィラデストを応援いただき、誠にありがとうございました。
皆さま、楽しい年末年始をお迎えください!!

来年、2月1日には長野県ワイン協会主催の「GI長野ワインフェス2025」が軽井沢プリンスホテルで開催されます。長野県内の30ワイナリーが集結する貴重な機会です。すでに12月10日からチケット販売も始まっています。冬の軽井沢で、お会いできることを楽しみにしています!!

「収穫体験ワイナリーツアー」でご来場いただきました

先月10月19日に、ソムリエ兼ワインスクール講師である佐々木健太氏と、ヴィラデスト ブランドサポーターの別府岳則氏が、「収穫体験ワイナリーツアー」としてお客様とともにご来場くださいました。

▲写真右が佐々木ソムリエ

このツアーでは、佐々木ソムリエが運営するワイン学習サービス「ホームワイン (Homewine)」の会員様20名にご参加いただき、まずはヴィラデストカフェにて、地元の食材をふんだんに使ったランチをお楽しみいただきました。

 

ランチの後、ヴィラデストで最も古いブドウ畑である、1992年に玉村が植栽した畑(ヴィラデスト ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ/メルロー V.V.の畑)にて、約1時間の収穫体験が行われました。

収穫体験を通じて、参加者の皆様にはブドウ栽培やワイン造りの楽しさと共に、その背後にある困難や手間についても理解を深めていただきました。

 

丁寧に摘み取られる果実の一粒一粒が、どのようにしてワインへと仕上がっていくのか、その過程を肌で感じていただけたものと思います。
さらに、今後は「ホームワイン」会員様向けに、ヴィラデストのワインを販売することも予定しており、この取り組みが長野ワインの魅力をより多くの方々にお伝えする機会になることを、心より楽しみにしています。

 

「ホームワイン」のイベント開催報告もぜひご覧ください。
https://homewine.jp/news/event_241019/

「ホームワイン」
https://homewine.jp/